シリーズ『特定商取引法』を理解しよう5  禁止行為その3

コンプライアンス講座 -第112回-

第109回110回のシリーズ記事で特定商取引法上【やってはいけないこと(禁止行為)】を順番にご紹介してまいりましたが、今回はその締めくくりです。
今回取り上げるのは、ここ最近問題視される機会が増えていることから、皆さんにも十分にご注意いただきたい行為についてです。しっかり確認しておきましょう。

■特商法における禁止行為 その3
1. 判断力不足に乗じての契約
- 相手の方に十分な判断力が備わっていないことを分かっていながら契約を行ってはいけません -

<判断力不足とみなされやすい方の例>
●若年者  ●認知症の高齢者  ●認知や判断に影響する障害を持つ方

上記の例のうち、特にご注意いただきたいのは<若年者>です。
この禁止規定は、もともと悪質事業者による被害例の多い高齢者や、「簡単に儲かる」などの甘言に惑わされやすい未成年者を守るための意味合いが強いものでした。ですが昨今は、20代前半もまだまだ判断力が十分とは言えないと考える気運が高まっており、その層を保護する意識も高まってきています。その例として思い出されるのが、大学生や大学を卒業して間もない若者の間で急速に広まった某MLM企業が行政処分を受けた事件です。さらに、成人年齢を18歳に引き下げる議論が行われた際、「経済観念が成熟しているとは言いがたい18~22歳は<若年成人>として法で保護すべき」との意見が挙がったことも記憶に新しいでしょう。
つまり、今は若年者のトラブルが注目を浴びる時期であり、若年者がこの規定の 『判断力不足』に該当すると判断される可能性も高いため、そういった方々にシナジー製品をご紹介する際は十分に注意していただく必要がある、ということです。
シナジーは業界他社と比べ、若い世代が多く活躍されているという特徴があります。当然、アプローチ先にも若い世代が多いということになりますので、そういった意味でも他人事ではないと言えるでしょう。

上記の<判断力不足とみなされやすい方の例>に該当する可能性がある方にシナジーをご紹介する場合は、契約にあたっての重要な事項を相手方がきちんと理解し、その上で契約を決断されているのか注意深く観察するよう徹底しましょう。ご家族とお話しして了解を得るというのも、後々のことを考えると非常に有効な手段です。契約にあたっての重要な事項としては、例えば次のようなことが挙げられます。

<契約にあたっての重要な事項の一例>
① シナジー製品の購入方法の種類:
 ※チームメンバー登録、シナジーメイト登録、小売販売など複数の手段が用意されていること
② チームメンバー登録やビジネス継続に伴う負担額
③ シナジービジネスは「誰でも簡単に儲けられる」ものではないこと
④ オートシップ注文とは毎月の自動定期購入であること
⑤ 相手方のライフスタイルや経済状況などから考えて、重要視するであろうことが明白な事柄

 ※②と③はチームメンバー登録をお勧めする場合


2. 個人の状況に照らして不適当な勧誘
- 知識、経験、財産などの状況から、客観的に見て不適当と認められる勧誘を行ってはいけません -


<これに抵触する可能性の高い例>
• 物販経験のない方に対し、「シナジー製品は素晴しいので誰でも簡単に売れる」などと告げ、大量に製品を仕入れることをすすめた
• 経済的に余裕のない方に対し、「消費者金融で借り入れしてでもシナジー製品は購入した方がよい(あるいはシナジービジネスに参加した方がよい)」などと強く勧誘した

これは『適合性原則(てきごうせいげんそく)』違反と呼ばれる行為で、相手の知識、経験の不足につけこんでいると捉えられる行為や、財産の状況に照らして分不相応な支出をさせようとしていると捉えられる行為などがこれに当たります。行政処分の事例では、『氏名等の明示』違反と並んでよく取り上げられる事例となっています。この規定には明確な線引きがなくケース・バイ・ケースで判断されることになりますので、相手の方の生活環境などをよく観察し、冷静かつ客観的な判断を徹底しましょう。

なお、前項『1. 判断力不足に乗じての契約』と重複しますが、昨今の情勢下ではこの規定においてもやはり若年者への配慮が求められています。若年者は総じて、『判断力』のみならず、知識、経験、財産においても十分とは認められていないためです。ですので、社会経験の浅い若年者への勧誘行為は、1.と2.いずれにも該当する可能性があるということになりますから、十分なリスニングと説明を行い、製品の販売、あるいはシナジーへのご登録が妥当であるか慎重に判断しましょう。


3. 虚偽の記載による契約
- 契約書の作成に際し、年齢や職業などについて虚偽の情報を記載するよう促してはいけません -


<これに抵触する可能性の高い例>
• 学生(or未成年)の方に登録してもらいたいがために、ウソの職業(or年齢)を記載させた

当たり前のことではありますが、契約書にウソを書かせるのは絶対にNGです。
証明書を必要とするシナジーの登録システムでは該当例があまり考えられませんが、法令上の禁止事項であることを頭に入れておきましょう。
特商法だけでなく、状況によっては『私文書偽造罪』などの重大な犯罪行為に該当する可能性もあります。


以上、第109回から今回まで、三回に分けて特商法の禁止行為を解説してまいりました。
いずれも誠実で思いやりのあるビジネスを心がけていれば、自ずと守れるはずのことばかりだとご理解いただけたのではないでしょうか。
とはいえ、当たり前を当たり前として継続していくことは、思いのほか大変なことです。時にはご自身のビジネススタイルを省みて、禁止行為を意図せず行ってしまっていないかセルフチェックしたり、グループでお互いに目を配り合い、気づいたことがあれば気軽に声を掛け合える空気を作るなど、定期的に軌道確認を行うよう心がけたいものですね。

シナジーワールドワイド

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