今回から、特定商取引法の大きな特徴にもなっている、『書面の交付』ルールについて解説してゆきます。
『書面の交付』とは、「シナジーをご紹介した方にチームメンバー登録を行っていただく際や、小売販売として直接シナジー製品をお譲りする際などには、法律で定められた事項が網羅された書面をお渡ししなければなりません」というルールです。
お相手の方に契約内容や解約条件についてきちんとご理解いただくために、口頭説明だけでなく書面交付まで行うというのは、のちのちのトラブルを回避するという点で大変重要です。
法律上の義務でもありますが、事業者として社会的責務を果たすという観点からも必ず徹底しなければなりません。
まずはビジネスパーソンの基礎知識として、“契約”というものの基本的な考え方についておさらいしてゆきましょう。
私たちは日常生活の中で、なにげなく買い物をしたり、代価を支払ってサービスを受けたりしますが、それらすべてが契約によって成り立っています。
契約と聞くと、「小さな字で書かれた書類を読んで、納得したらサイン。最後に印鑑を押して成立する重要な取引」というイメージがありますが、実際には、書面のやり取りのない「これが欲しいです」→「〇〇円でお売りします」といった日常的な買い物も、すべて契約にもとづく取引です。
契約に関する基本ルールとして、「契約を結ぶ方法は自由であり、双方の合意があれば成立する」というものがありますので、本来、契約に書面のやり取りは必須ではありません。
例えば、利用客の多いスーパーマーケットで、利用客一人一人と書面を取り交わしていては大変なことになってしまいますね。
ここで行われる契約のほとんどは、「代金を支払って商品を受け取る」というシンプルな売買取引ですので、暗黙の合意だけで契約成立となるスピード重視の形式が、取引習慣として浸透しているというわけです。
一方で、お互いの義務/責任が複雑であったり、支払いが高額となる取引においては、口頭で交わした合意だけではトラブルに発展してしまいがちです。
そのような契約においては、トラブルに備えて、契約にあたっての決めごとを“契約書”として書面に残す形式が浸透しています。
このように、契約を誰と、どのように、どういう方法で行うかは当事者同士の自由であり、この考え方を『契約自由の原則』と呼びます。
ここまでが契約に関する基本的な考え方ですが、“原則”とあるように、例外が存在します。
法律によって、契約内容を記載した書面を相手方に渡すことが義務付けられている取引もあるのです。
その一つが、特商法の訪問販売や、MLMビジネス、つまり連鎖販売取引です。
次回は、特商法の書面ルールについて具体的に解説いたします。
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