コンプライアンス講座 -第110回-
これまで、特定商取引法の概要と、シナジービジネスを行うにあたって【やらなければならないこと】、【やってはいけないこと(禁止行為その1)】を順番にご紹介してきました。
今回は、引き続き【やってはいけないこと】の解説第二弾です。前回の『重要事実の不告知』『不実告知』と同じく、大切なポイントは相手への配慮と敬意、そして思いやりです。
■特商法における禁止行為 その2
1. 威迫・困惑 ―― 相手にプレッシャーを与えたり、困らせたりしてはいけません ――
『威迫・困惑(いはく・こんわく)』・・・聞き慣れない言葉ですね。時折ニュースなどで耳にする『脅迫』と同じかな?と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、そのイメージは当たらずとも遠からずといったところでしょうか。
『威迫・困惑』とは、登録して欲しい、または解約して欲しくないがために、 相手の方にプレッシャーを与えるなどして、不安にさせたり困らせたりする行為を指します。『脅迫』が相手に害をなすことをはっきり告知する行為であるのに対し、『威迫・困惑』は不安を煽る行為であるというニュアンスの違いはありますが、不安感はエスカレートすれば恐怖感になりえます。程度の差こそあれ、根は同じと言えるでしょう。
あえて例を挙げるとすると、こんなケースがNGとなります。
• グループ内で宣言した目標を達成しなければ、というプレッシャーから、シナジーをご紹介した相手の方に対し、「サインしてもらえないと困る…」「周りに迷惑をかけてしまうから助けて!」などと迫った。
• 「○○のみんな(ご近所、趣味サークルなど)でシナジーをやっていてね、あと登録していないのは貴方だけなのよ!」などとプレッシャーを与えた。
• お誘いしている相手の方に対し、「○○(身体の部位や機能)が悪いですね。このままではいずれ××(病名など)になってしまいますので、危ないですよ。」などとむやみに不安にさせることを告げた。
• 「○○のみんな(ご近所、趣味サークルなど)でシナジーをやっていてね、あと登録していないのは貴方だけなのよ!」などとプレッシャーを与えた。
• お誘いしている相手の方に対し、「○○(身体の部位や機能)が悪いですね。このままではいずれ××(病名など)になってしまいますので、危ないですよ。」などとむやみに不安にさせることを告げた。
いずれも見方によっては「本当のことを言っただけ」のように考えられますし、言ったご本人もそのつもりで決して悪意を持って言っているわけではないかもしれません。
それでも、相手の方が「これは契約しなくては(買わなくては)いけないのではないか・・・」と不安を覚えたり困ってしまったら、その時点で特商法上の『威迫・困惑』に該当してしまいます。
『威迫・困惑』にあたるか、違法とまでは言えない単なるセールストークの範疇に収まるかはケースバイケースで判断されますので、その場の状況、相手の方の立場、お気持ちをよく考えて発言するようにしましょう。
2. 目的を隠して密室に同行させての勧誘
特商法では、ビジネス勧誘という目的を告げないまま不特定多数が出入りしない場所で勧誘を行う行為を禁止しています。つまり、スポンサリングが目的なら「シナジービジネスについてご紹介したい」、製品を小売したい場合は「あなたにおすすめしたい製品がある」ということを事前に明らかにしないまま、閉鎖空間にお連れして勧誘行為をしてはならないということです。 「ビジネスの話とは知らずに連れていかれた先が密室で、断れず、逃げられない状況で複数人に囲まれて勧誘された。早く帰りたい一心でついサインしてしまった」といった被害報告が増加したため、禁止行為とされました。不特定多数が出入りしない場所の例としては、事務所/カラオケボックス/会議室/ホテルの一室/個人宅などが挙げられます。
Vol.108で取り上げた『氏名等の明示』ルールでもビジネスや製品を紹介するという目的をあらかじめ相手の方に伝えることを義務付けていますので、場所が閉鎖空間であるか否かに関わらず、勧誘目的は必ず事前にお知らせしておく必要があります。なお、健康セミナー等にご参加いただくのを第一目的としており、その場で実際にシナジーのビジネスや製品のご紹介を行うかどうか確定していない場合(つまり、「先方の反応を見てからご紹介するかしないか見極めようかな」などと考えている場合)であっても、勧誘を行う可能性が完全にゼロではない場合は予めお知らせしておく必要がありますので、十分に注意しましょう。
今回取り上げた行為は、いずれも相手の方に孤立感や不安感といったネガティブな感情を抱かせるという点が共通していますね。NGの例を冷静に見れば、「こんな『悪徳商法』的なやり方、私がやるわけない」と思えるものですが、感情が先走ってコントロールできなくなってしまったり、自己の目標を達成しなければという思いや責任に追われたりして心の余裕を失ってしまうと、最悪の場合自身が当事者になってしまう可能性も、残念ながらゼロではありません。
皆さまはプロの個人事業主であり、『シナジーブランドの顔』としてビジネスに臨んでいらっしゃいます。他者への配慮と敬意がシナジービジネスにおいては最も大切なものであることを常に意識し、思いやりのあるビジネスを展開するよう心がけましょう。
シナジーワールドワイド
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