シリーズ・『特定商取引法』を理解しよう2
『氏名等の明示』ルール

コンプライアンス講座 -第108回-

さて、特商法について、早速具体的なルール説明に入りましょう。まずは【やらなければならないこと】として、『氏名等の明示』ルールを解説します。 特商法では、勧誘に先だって、相手方に以下の3点をあらかじめ伝えておくことが義務づけられています。

① 自身の戸籍上の氏名
(ビジネスネーム等はNGであることに注意。法人の場合は社名・団体名も)
② シナジーワールドワイド・ジャパン合同会社という会社のサプリメント・化粧品・日用品を取り扱っていること
③ シナジーの製品や、製品購入により始められるビジネスについて貴方にご紹介したい、ということ
(シナジービジネスについて一切触れない小売販売時は、ビジネスについての言及は省略可)

この規定は『氏名等の明示』ルールと呼ばれ、相手方に自分の名前や目的を明らかにすることで、安心感と勧誘を受ける心構えを与え、スムースな取引が行えるようにと制定されました。
ご挨拶として当たり前の内容ですが、相手方が友人・知人だと改まるのが照れくさいといった理由などでついつい省略してしまいたくなるかもしれません。ですが、このルールを守ったかどうかは後々立証しやすいこともあり、過去に行政処分を受けた企業では、ほとんどのケースでこのルールに対する違反が指摘されています。シンプルながらとても重要なルールなのです。
これを踏まえ、下のようなアプローチ例はどうか、考えてみましょう。

Q:このアプローチ例は合法でしょうか?違法でしょうか?
一緒にビジネスをしたい友達がおり、自分のグループが開催している新規向けセミナーに参加して欲しいと考えたが、正直に誘っても「怪しい」などと言って来てくれないなと思ったので、「久しぶりに食事に行かない?」と声をかけ、警戒心を覚えさせないようにしてセミナー会場に同行してもらうことにした。

―― 心理的にも状況的にもありがちですよね。でも、残念ながら違反事例となります。
友人なので、①の氏名は元々知っている可能性が高いですが、②③がまったく伝えられていないのが問題で、違法な勧誘行為とされる可能性が高いでしょう。

上記に関連して、もう一つクエスチョンです。

Q:前述の状況において、①~③をお伝えするタイミングは果たしてどちらが正解でしょうか?
A) 実際に勧誘行為が行われるセミナー会場に入る直前
B) 一番はじめにお声がけした時

―― 答えはB)の「一番はじめにお声がけした時」です。
このルールの目的は「相手に勧誘を受けることについてハッキリと認識させ、選択させる」という点にありますので、いざセミナー会場に入ろうというタイミングでは遅く、一番はじめに声をかけた段階で伝え、その友人自身に同行するかどうか選択させるべきだった、という判断になります。

『氏名等の明示』ルールは、『本当の目的を隠した不意打ち勧誘』によるトラブルが多発した教訓を受けて制定されました。ビジネスのご紹介は、相手の方にとって素晴らしいチャンスになり得ますが、不誠実な方法で勧誘してしまうと良かれと思ってのお話が一転、「騙した、騙された」という最悪のやり取りになってしまうこともあり、そうなれば残念な結末を迎えるほかありません。相手の方とその後も良好な信頼関係を保てるよう、伝えるべきことはあらかじめきちんと示し、お互いに気持ちよくシナジーのお話ができるよう心がけましょう。

シナジーワールドワイド

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