シリーズ・『薬機法』を理解しよう
2. サプリメントと薬機法との関係

コンプライアンス講座-第123回-


前回の記事で、薬機法とは、「医薬品」「医療機器」「化粧品」などをまとめて規制する法律であると解説しました。
では、その規制対象ではないはずの「サプリメント」が、薬機法違反による取り締まりの対象となるのはなぜなのでしょうか?

■法律は自分の守備範囲しか守らない
まず大前提として、薬機法に限らず、法律は、そのルールを適用する対象が明確になるように作られています。

たとえば、特商法なら、「訪問販売」や「MLM」などの特定の“取引”を対象としています。薬機法なら、「医薬品」や「化粧品」などの 特定の“物”を対象としているという具合です。
さらに、その“取引”や“物”の内容についても、具体的に定義が与えられています。
(例)「訪問販売」は、販売事業者が、営業所等以外の場所で契約または申込の受付を行う、商品の販売または役務の提供であると定義されています。

この定義に当てはまらない物事については、どんなに似ているものでも、その法律は適用されません。
たとえば、「理容師」と「美容師」は仕事の内容が少し違う、同じ職業だという認識の方も少なくないと思います。ですが実際は、それぞれ「理容師法」と「美容師法」という別の法律に基づく、法的にまったく異なる職業です。
似ているからといって、理容師の資格のみを持っている方に美容師法は適用されませんし、その逆も同様です。

法律は、自分の守備範囲を明確にして、範囲を忠実に守るように作られているのです。

■薬機法の守備範囲にサプリメントは入っていない
ここまでの解説を受けると、薬機法でサプリメントを取り締まるためには、薬機法の守備範囲にサプリメントが入っている必要があると考えられるでしょう。しかし、条文を見ても、サプリメントは薬機法の守備範囲ではありません。
食品は食品衛生法という別の法律で規制されており、「健康食品・サプリメント」という分類で考えれば、こちらの法律のほうが適切なはずですが、現実にはサプリメントは薬機法での処理となっています。

ここで冒頭の問いに戻りますが、ではなぜサプリメントが薬機法での取り締まり対象となっているのでしょうか?

■サプリメントでも法的に医薬品として扱われることがある
答えは、“サプリメントが医薬品として扱われる場合があるから”です。
前述のとおり、法律は適用対象に“揺れ”が出ないように、対象となる物事をはっきり定義づけています。それはつまり、その定義に当てはまるなら、何を自称していようと、法的にはその対象となる物事として扱われる、ということに他なりません。

そのため、取り締まりを受けるサプリメントとは、どのように商品を自称しているかに関わらず、法的には医薬品として処理される場合があり、「医薬品としてのルールを守らなかった」ということで摘発されているというわけです。

次回から、どのようなサプリメントが医薬品とみなされるのかについて解説します。

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