コンプライアンス講座 -第88回-

特定商取引法:『氏名等の明示』ルール


前回は、《シナジーのご紹介を行う前に必ずしておかなくてはならないこと》についてご紹介いたしました。
前回の復習の意味で、もう一度見てみましょう。

特商法では、勧誘に先だって相手方に以下の3点をあらかじめ伝えておくことが義務づけられています。


① 自分の名前(法人登録で活動している場合は社名・団体名も)
② シナジーワールドワイド・ジャパンという会社のサプリメント・化粧品・日用品を取り扱っていること
③ シナジーの製品や、製品購入により始められるビジネスについてご紹介したい、ということ


この規定は『氏名等の明示』ルールと呼ばれ、相手方に自分の名前や目的を明らかにすることで、安心感と勧誘を受ける心構えを与え、スムースな取引が行えるようにと制定されました。

ところで、アプローチの段階で具体的にはどこまで告げればよいのでしょう。①~③それぞれについて、ご一緒に考えてみましょう。

① は、《戸籍上の氏名や登記簿上の商号、名称を告げること》と、されています。
つまり本名ではないビジネスネームや芸名等はNGであるということに注意しなくてはなりません。

② は、《何という会社のどのような商品を取り扱っているのかが分かる程度》とされています。
あくまでアプローチ段階なので②で示したようにざっくりした内容でよく、『プロアルギナインプラス』などの具体的な製品名までは不要です(もちろん、製品名を伝えたらNGということではありません)。

③ は、《金銭負担のある契約の勧誘を、自分が今まさに受けようとしていること》を認識させるのが目的なので、③で示したように簡潔に目的を伝え、出費が伴うお話であることの明示が必要です。

これを踏まえ、例えば以下のようなアプローチ例はどうか、考えてみましょう。

■    アプローチ例
一緒にビジネスをしたい友達がおり、自分のグループが開催している新規向けセミナーに参加して欲しいと考えたが、正直に誘っても「怪しい」などと言って来てくれないなと思ったので、「久しぶりに食事に行かない?」と声をかけ、警戒心を覚えさせないようにしてセミナー会場に同行してもらうことにした。

心理的にも状況的にもありがちと言えなくもありません。ですが、残念ながらこれはNG例になります。①は友人ということで元々知っているかと思いますが、②③がまったく伝えられていないのが理由で、違法勧誘とされる可能性が高いでしょう。

それでは、①~③をきちんと伝えておくべきだったとして、それらをお伝えすべきだった最善のタイミングとは、 『実際に勧誘行為が行われるセミナー会場に入る直前』か、『一番はじめにお声がけした時』か、果たしてどちらが正解でしょうか?

答えは、一番はじめにお声がけした時です。
この規定の主旨は、「自分が勧誘を受けることについてハッキリと認識させ、選択させる必要がある」ということですので、いざセミナー会場に入ろうという時では遅く、一番初めに声をかけた段階で伝え、その友人自身に同行するかどうか選択させるべきだった、という判断になります。

このルールが設けられたのは、本当の目的を隠した不意打ち勧誘によるトラブルが社会的に多発した過去があるためです。ビジネスのご紹介は、相手の方にとって素晴らしいチャンスになり得ますが、それは正しい手順、正しい伝え方で誠意を持ってご紹介した場合の話です。
不誠実な方法で勧誘してしまうと、良かれと思ってのお話が一転、「騙した、騙された」という最悪のやり取りになってしまうこともあり、そうなれば誰にとってもメリットはありません。

登録してもらえる、もらえないに関わらず、相手の方とその後も良好な信頼関係を保てるように、伝えるべきことはあらかじめきちんと示し、お互いに気持ちよくシナジーのお話ができるよう心がけたいものですね。

シナジーワールドワイド

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