コンプライアンス講座―(第55回)

「書面の交付」(第一回 -二つの書面)

さて、今回からは特商法の強い特徴にもなっている「書面の交付」ルールについて解説していきます。

特商法は、シナジービジネスが含まれる『連鎖販売取引』のほか、『訪問販売』や『通信販売』など、特殊なスタイルのビジネスを扱っていますが、これらは一般的な店舗販売と比べて、契約内容が複雑だったり、購入者側が充分な検討を行わないまま契約してしまうケースが少なくありません。これにより発生するトラブルや、いわゆる「言った、言わない」を防ぐために、法律によって“契約内容をまとめた書面”を交付するよう義務づけているのです。

ちなみに、意外に思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、実は「契約書」といった類の書類は、当事者が任意で作っているに過ぎないものが多いうえ、通常は双方の合意さえあれば書面にする必要すらないのです。例えば、スーパーで買い物をするのに「契約書」は作りませんよね。これが、前述の“通常”のケースのひとつです。

つまり、法律の条文で作成を義務づけているものは、社会に無数にある契約のうちのほんの一部なのです。

そのことを考慮すると、特商法の書面交付ルールがどれだけ重要なものであるかご理解いただけることと思います。

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特商法で交付を義務付けている書面には、「概要書面」と「契約書面」の二種類があります。
これらは役割、記載内容、交付のタイミングが異なり、いずれを欠かすこともできません。

次回は概要書面の解説を行います。

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