コンプライアンス講座 -第96回-

同業他社の行政処分に学ぶ A社のケース解説

第95回講座で触れた、A社のケースを解説します。具体的には、以下のような違反行為が行政側の指摘を受けた模様です。


【A社の勧誘の特徴と認定された違反行為】
① 会員の大学生が友人に連絡し、以下のような誘い文句で興味を持たせた後、『氏名等の明示』ルールを守らずに(つまりビジネスの勧誘が目的であることを告げずに)喫茶店などに誘い、アップライン会員と共にビジネス勧誘を行っていた。

■誘い文句の例
 「私の先輩がバイトについて詳しく話をしてくれるから、一緒に聞きにいかないか」
 「最近やっている広告ビジネスの話がある。紹介したい」
 「アルバイトのような感じで、お金が入ってくる話がある」

② 勧誘時、取扱商品の説明やボーナスを得るためには毎月商品購入が必要なことなどを告げず、あたかも数人の新規会員を紹介するだけで簡単に定期収入が得られるかのように話すだけで、相手方はビジネスの全体像すら理解できない状況であった。
また、相手方の判断に影響を及ぼす事柄について、正しくない情報を告げていた。

■不実告知にあたる表現の例
「勧誘して人を下に付けることができれば、後は何もしなくても定期的に収入がある」
「最初に3、4人紹介すれば、あとは何もしなくてもどんどんお金が入ってくる」

③ 勧誘時、重要な事項(例:商品の品質/販売価格と数量/登録料の金額/定期購入について/契約の解除について)を故意に伝えていなかった。

④ 勧誘後、登録用紙に個人情報を記入させたところで回収し、紹介者ないしアップラインが申し込み内容を勝手に記入して契約を結ばせていた。

⑤ 固定収入がなく、取引についての知識、経験もない学生に、定期購入を含む不適当な契約を結ばせていた。

前述のように複数の違法行為が認定されており、いずれも悪質性の高いものですが、A社においては特に⑤に注目が集まりました。「学生」という表現になっていますが、とりわけ大学生が会員登録し、学内のサークル等で広く勧誘を行っていたケースが多いそうです。


【学生の方へのスポンサリング活動についてシナジーでは】
特商法は、「○歳以下(以上)を勧誘してはいけない」「学生を勧誘してはいけない」といった、相手方を具体的に限定する規制は設けていません。MLMのビジネス契約をするにふさわしい、ふさわしくないというのは、年齢や職業で一律に区切れるものではないためです。
そこで代わりに、「ビジネスの知識や経験が十分でなかったり、ビジネスに必要な費用を支払う経済的余裕がない方」に対し、「不適当な勧誘を行うこと」を禁止するという、柔軟なルールを設けているのです。
「不適当な勧誘」とは具体的にはどういうものか、という点にははっきりとした線引きがないため、行政機関によるケース・バイ・ケースの判断が下されることになります。
学生*の方は一般的に「知識、経験、財産、いずれにおいても十分に備わっているとは言いがたい」と考えられていますので、学生*の方への勧誘行為は違反認定を受けてしまう可能性が高いのです。
(学生*:社会人がキャリアアップのために専門学校や定時制、通信制の学校に通っている場合などは除く)

シナジーでは、学生*の方にはまず本分である学業に専念していただき、卒業後にビジネスに参加していただきたいという考えから、チームメンバー規約『方針と手続き』により、学生*の方のビジネス登録はご遠慮いただいています。また、ボーナスが発生しうるビジネスの契約となりますので、未成年の方のビジネス登録もご遠慮いただいています。
もしご登録後にこれらの事実が発覚した場合は、メンバーシップ解除等の措置を取らせていただく可能性もありますので、十分にご注意ください。

B社のケースもぜひご覧ください。

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